「レ・ミゼラブル」の余韻（の原稿でもおわびと修正）

フランス映画をDVDで、ミュージカルをロンドンで鑑賞済み。ストーリーがわかっているだけに、ハリウッドの派手なキャストに疑問符を打ったまま、劇場に出かけました。「豪華キャストでも私はだまされないわよっ」となぜか戦闘態勢。これも、フランスが舞台だから？

観賞後、申し訳ない気持ちでいっぱいになりました。すごすぎるっ！なんでみんながみんな、歌が上手なの？日本のノリで行けば、CDデビューし、ダブルで稼いでていてもおかしくないでしょう。恐るべし実力、本業からブレない骨太ハリウッド社会をかいま見たよう。

私が注目したのは「エポニーヌ」。ヒロインのコゼットや、その母役のアン・ハサウエイの影に隠れていますが、この映画の描き方では、非常に感動的な女性でした。

エポニーヌには、片思いの相手がいます。その名は「マリウス」。ブルジョワな環境からあえて離れ、貧しい市民の側に立ち、国家権力と戦います。時は１９世紀ですが、今で言えば「格差社会」ですね。差は今と比べようのないくらい大差がありますが！

そんな貧しさのなか、おぼっちゃまに心を寄せるなんて、計算高いのかと思いきや、実に純粋な「愛」を見せてくれます。マリウスがコゼットにどんどん心を奪われていくのを目の当たりにしながら、彼の恋の手助けさえするのです。

こういう役につきまとうのが、「いい子ぶりっこ」のわざとらしさ。それがない！
たとえば、渡せずにいたコゼットからマリウスへの手紙を、自分の死が目前に迫り、ようやく彼に手渡すシーン。小さなジェラシーだけれど、それを皆無にできるほど、人はそんなに強くない。ましてや伝書鳩ではない。「だって人間ですもの、複雑よね」と、かばわずにいられませんでした。

彼女の幸せの絶頂は皮肉にも最期。愛するマリウスの腕の中で天に召されて行きます。
「恋愛」としては成立しなくとも、お互いのリスペクトがあれば、もっと深い、人対人の「愛」として確かに成り立つのですね。彼の未来図に自分はキャスティングされていないけれど、彼の今の幸せを願う。自分への「テイク」を期待せぬ愛。無償の愛を感じずにはいられませんでした。それはつまり高貴な愛。心の美しさにしびれました。

さらに考えます。見返りがなくても、愛の連鎖は必ずあるはず。めぐりめぐって誰かが幸せになれば、我が事のように喜べる。答えがない事での焦りや人への嫉妬などがなければ、心の余裕が生まれ、幸せを分かち合える社会になるんだろうな。パリに暮らした時もそう感じる機会が多々ありました。

それにしても女優さん、栗色の髪にしっかりしたまゆが印象的で、パリジェンヌっぽい。（聞いた話では、フランス人は栗色人口が一位らしいです。）
死さえ幸せに思わせる、おだやかな表情も印象的でした。歌も絶品！高音の節回しなど、酔いしれました！

ここ数日、レ・ミゼラブルの事で頭がいっぱい。感想文は延々に続きそうできりがない！原作本を買いました♪

またしてもおわび&修正
かれんさん、そうです、エポニーヌ！「エポリーヌ」と完全に誤字でした。ご指摘に感謝♥
niwahanaさん、間違った名前を伝えてごめんなさい！！陳謝。
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